「グリチルリチン酸ジカリウム」って、肌に悪いの?

スキンケア

アトピー肌用、敏感肌用のスキンケア化粧品にもよく配合されているグリチルリチン酸ジカリウム。肌にとってうれしい効果をもたらす一方で、「副作用が心配」「塗り続けると危険」という噂も聞かれます。

果たして、グリチルリチン酸は肌に「マル」な成分なのでしょうか。敏感肌、トラブル肌と向き合い続けるスキンケアブランド「肌○(はだまる)」として、グリチルリチン酸ジカリウムについての見解をお伝えします。

「グリチルリチン酸ジカリウム」ってなに?

「甘草(カンゾウ)」という植物の名前を聞いたことがあるでしょうか。甘草は4千年も前から薬草として親しまれてきたマメ科の植物で、別名は「生薬の王」。古代バビロニアのハンムラビ法典に薬として記述されていたという話や、古代エジプトのツタンカーメン王の墓地から発掘されたといった逸話も持っています。

「グリチルリチン酸ジカリウム」とは、その甘草の根や茎から抽出したグリチルリチン酸に、カリウムを結合させて水に溶けやすくした成分のことです。

20世紀前半ごろから応用研究が繰り返され、さまざまな効能と安全性が明らかになるとともに、医薬品として使用されるようになりました。さらに20世紀中頃からは皮膚科領域においても注目が集まり、医薬部外品や化粧品にも配合されるようになったのです。

これらも「グリチルリチン酸ジカリウム」と同じ成分

グリチルリチン酸ジカリウムは、さまざまな呼び名があります。グリチルリチン酸2K、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸K2、グリチノンK2、グリチルリチン酸ニカリウムと表示されている成分も、同じものです。

またグリチルリチン酸と結合させる成分は、水溶性にするか油溶性にするかなど、用途によってさまざまです。甘草エキス、グリチルリチン酸アンモニウム、グリチルリチン酸2Na、グリチルレチン酸ステアリルなども、ほとんど同じ成分だといえます。

「グリチルリチン酸ジカリウム」の効能

グリチルリチン酸ジカリウムは、健康な肌にとってはもちろん、敏感肌、トラブル肌にとっても、非常にすぐれた効能をもたらします。

(1) 抗炎症作用=赤みやニキビケアに○

グリチルリチン酸ジカリウムは、組織がダメージを受けたときに体内で生成される「プロスタグランジンE2」という物質を強力に抑えてくれます。それによって、過剰な炎症や赤み(紅斑)をともなうアトピーや肌荒れ、ニキビの悪化を抑えることができるのです。炎症を抑えることで、アトピー肌のお悩みのひとつである色素沈着を防ぐことにも繋がります。

(2) 抗アレルギー作用=肌荒れや痒み予防に○

真皮には、肌の潤いを保つヒアルロン酸があり、その量は「ヒアルロニダーゼ」という分解酵素などによって適正に保たれています。しかし肌にアレルゲンなどによる刺激が加わると、ヒアルロニダーゼが活性化。ヒアルロン酸のバランスが崩れて、肌は乾燥し、痒みを引き起こすヒスタミンが放出されてしまいます。グリチルリチン酸ジカリウムにはヒアルロニダーゼを抑制する働きがあるので、アレルギーの発生を防ぐことができるのです。

(3) バリア機能改善=乾燥や刺激対策に○

肌の表面には角質細胞がきれいに並んでいて、その間をセラミドなどの細胞間脂質が満たすことで、乾燥や外的刺激を防ぐことができています。これを「バリア機能」といいます。アトピー肌や敏感肌、トラブル肌は、このバリア機能が弱っている状態。グリチルリチン酸ジカリウムは角質細胞の外側の膜(CE=コーニファイドエンベロープ)を丈夫にする働きがあるので、バリア機能の改善、バリア機能の質の向上も期待できます。

(4) 線維芽細胞増殖作用=ハリや弾力アップに○

肌のハリや弾力を生み出しているのが、真皮にあるコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸です。これらをつくり出す細胞を、線維芽細胞といいます。グリチルリチン酸ジカリウムには線維芽細胞を増やす作用があるので、肌にハリと弾力をもたらしてくれます。

(5) 刺激緩和作用=ピリピリ予防に○

何らかの成分が肌に触れたとき、「ピリピリ」「チクチク」とした刺激を感じることがあります。これを皮膚一時刺激といいます。グリチルリチン酸ジカリウムは安全性が高く刺激が少ないだけでなく、ほかの成分による皮膚一時刺激を和らげてくれる働きがあります。

「グリチルリチン酸ジカリウム」は、どんなものに使われている?

上記のような効能を期待して、グリチルリチン酸ジカリウムは、医薬品、医薬部外品、一般化粧品に幅広く使われています。

医薬品

風邪薬、うがい薬、口腔用殺菌トローチ、外用鎮痛薬、鼻炎薬、非ステロイド系点眼薬、胃腸薬など、グリチルリチン酸ジカリウムは、抗炎症成分や粘膜修復成分として、さまざまな医薬品に配合されています。また「甘草」という名前の通り甘みがあるので、甘みをプラスするために利用される場合もあります。

医薬部外品

薬用スキンケア化粧品、薬用石鹸、薬用シャンプー、薬用リンス、日焼け止め、薬用育毛剤、薬用歯磨き粉など、グリチルリチン酸ジカリウムは、医薬部外品の有効成分として、厚生労働省に以下のような効果効能が認められています。

・肌荒れ、あれ性
・あせも、しもやけ、ひび、あかぎれ、にきびを防ぐ
・ふけ、かゆみを防ぐ
・日やけ、雪やけ後のほてりを防ぐ
・かみそり負けを防ぐ

一般化粧品

スキンケア用品、日焼け止め、石鹸、シャンプー、歯磨き粉など

本来、医薬品成分を化粧品に配合することはできませんが、グリチルリチン酸ジカリウムは例外。平成13年3月31日までに化粧品成分として承認を受けた成分として、医薬品でありながら化粧品に配合することが認められています。

食品

醤油、みそ、漬物、つくだ煮、水産加工食品、清涼飲料水、氷菓、乳製品など
 
グリチルリチン酸と同じカンゾウ抽出物(カンゾウエキス、グリチルリチン、リコリス抽出物)は、砂糖の約200倍の甘さがあることから、食品の甘味料として使用されます。また塩味を和らげる塩なれ効果や旨味出し効果も。カンゾウ抽出物から、ナトリウム塩として精製して得られるグリチルリチン酸二ナトリウムは、醤油及びみそにのみ使える食品添加物です。

食品を含め、身近な商品にこれほど多く使われているグリチルリチン酸ジカリウム。それだけ、グリチルリチン酸ジカリウムの安全性が高く評価されているといえるでしょう。

「グリチルリチン酸ジカリウムは危険」という噂の真相

そんなグリチルリチン酸ジカリウムですが、一部で「副作用が心配」「塗り続けると危険」といわれているのはなぜなのでしょうか。そしてそれは本当なのでしょうか。

アトピー肌や敏感肌、トラブル肌のための化粧品をつくっている肌○と、医師の見解を元に、ご説明したいと思います。

噂(1)副作用「ネガティブフィードバック」がある

グリチルリチン酸ジカリウムは、人間の身体が自らつくり出している抗炎症成分「副腎皮質ホルモン」と似た働きをする成分です。「ネガティブフィードバック」とは、体内でつくられるホルモン以外のホルモンを摂取し続けた場合、自らホルモンを分泌する力を抑制してしまうという症状です。

真相:肌に塗る場合は、まったく心配ありません

「ネガティブフィードバック」が心配されているのは、グリチルリチン酸ジカリウムと同じく、副腎皮質ホルモンに似た働きをする「ステロイド」の血中濃度が高まった場合です。グリチルリチン酸ジカリウムはステロイドよりも効き目が穏やかな成分ですし、内服ではなく化粧品や医薬部外品として肌に塗って使う場合はまったく問題ありません。

噂(2)副作用「リバウンド症状」がある

「リバウンド症状」とは、使用しているときは赤みや痒みなどの症状を抑えられていても、使用を止めると赤みや痒みなどの症状が悪化するという意味です。これは「ステロイド」を使用する場合も心配されることが多いものです。

真相:規格外の高濃度でなければ大丈夫です

あまりにもグリチルリチン酸ジカリウムの配合濃度が高い医薬部外品や化粧品の場合は、あり得るかもしれません。でも医薬部外品の配合率は0.3%、化粧品の配合率は0.5%と、安全を考慮して配合率が決まっているので、その基準を守っているメーカーの製品なら心配する必要はありません。

そもそも、すべての肌トラブルの原因がスキンケアだとは限りません。リバウンド症状だと感じたら、単純に肌の症状が悪化していると認識し、受診するようにしてください。

噂(3)副作用「偽アルドステロン症」がある

「偽アルドステロン症」とは、副腎皮質ホルモンの一種であるアルドステロンの分泌量が正常であるのに、アルドステロンが過剰分泌された際に起こるアルドステロン症と同じ症状を示すというものです。具体的な症状は、高ナトリウム血症、低カリウム血症による「手足のだるさ」「しびれ」「つっぱり感」「こわばり」「力が抜ける感じ」「こむら返り」「筋肉痛」などです。

真相:飲むわけではないので、問題ありません

甘草を含む漢方を長期間内服し続けると、まれに副作用として偽アルドステロン症が報告されていますが、外用としてグリチルリチン酸ジカリウムを肌に毎日塗っていても、まったく問題ありません。問題が起こるとすれば、1日に40mg以上を経口摂取した場合。肌からでは、とてもではありませんがこんな量は接種できません。

「グリチルリチン酸ジカリウム」は、特に安全とされる天然成分

グリチルリチン酸ジカリウムは、生薬としては4千年の歴史があり、化粧品や医薬部外品としては20年以上の使用実績がある天然成分です。歴史が長いということは、長い間多くの研究がされてきて、それでも安全性が揺るがない成分だということ。その証拠に、連続的に肌に塗って何か重大な副作用があったという例は、これまで報告されたことがありません。「肌○」としては、“肌にマルな成分”だと考えています。

ただひとつお伝えしておきたいのは、グリチルリチン酸ジカリウムがどれだけ安全な成分であっても、アレルギー反応の可能性はゼロではありません。「高濃度で使用しない」など、必ず正しい使用方法に従って使うこと。異変を感じたらすぐに使用を止めて、医療機関を受診すること。これらはグリチルリチン酸ジカリウムに限らずほとんどの成分にいえることですが、とても大切なことです。

スキンケア業界では常に最新の成分の研究が行われていて、新しい成分が開発されたり、成分の安全性の保証が検証されたりしています。時代に合わせて変化していく、最適で最新の成分で肌をケアするためには、成分そのもので判断するよりも、まずは信頼できるメーカーを選ぶことが重要です。

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