薬用化粧品(医薬部外品)の方がいい!とは限らないココだけの話
基礎化粧品を選んでいて、「薬用化粧品」や「医薬部外品」と書いてあるものと、書いていないもので迷うことってありませんか?「こっちの方がよさそうだけど、薬用じゃないし…」「値段が変わらないなら医薬部外品にしとこう」そんな風に決めた経験もあるかもしれません。
たしかに「薬」や「医」という文字が入っていることもあり、
化粧品 < 薬用化粧品(医薬部外品)
というようなイメージを抱きがちですが、本当にそうなのでしょうか。 今回は化粧品と薬用化粧品(医薬部外品)の違い、それぞれのメリットについてお話します。
目次
化粧品と薬用化粧品(医薬部外品)を定義づけているのは薬機法
化粧品と薬用化粧品(医薬部外品)は見た目も使い方も同じなので、なかなか違いが分かりにくいですよね。どんなものが化粧品で、どんなものが薬用化粧品(医薬部外品)なのか…。それを決めているのが「薬機法(医薬品医療機器等法)」と呼ばれる法律です。この法律の中では、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器に関する細かい取り決めがなされています。
簡単にまとめると…
医薬品 | 治療や予防に効果があり、医療機関による処方箋が必要なものや、 ドラッグストアで処方箋なしで購入することができる薬品 |
---|---|
医薬部外品 | 有効成分が配合されていて、予防効果が期待でき、作用が緩和な商品 |
化粧品 | 人の美容のためのもので、作用が緩和な商品 |
医療機器 | 病気の診断や治療、予防に使う機械器具 |
と定義されています。 そして薬用化粧品とは、医薬部外品でありながら化粧品としての機能もあわせ持ったもののことをいいます。この記事では医薬部外品ではない一般的な化粧品と区別しやすいように、薬用化粧品(医薬部外品)と呼ぶことにします。
ここでひとつ明らかにしておきたいのは、医薬部外品は医薬品とは区別されているということです。作用も緩和なので、薬用化粧品(医薬部外品)に薬のような強い効き目は期待できません。
具体的な違い、それぞれのメリットは?
ここからは、化粧品と薬用化粧品(医薬部外品)の特徴を細かく比べてみましょう。
化粧品 (一般化粧品) | 薬用化粧品 (医薬部外品) | |
---|---|---|
使用目的 | 健康な状態の維持 | 防止・予防 |
有効成分 | なし | あり(規定内の濃度で配合され、働きかける) |
表現できる 効果・効能 | 効能:56の効能範囲 緩和な効能 | 効果:有効成分ごとに認められた薬効 (薬用化粧品はさらに56の効能) 有効成分は承認された量が配合され、緩和な効能 |
薬事申請 | 販売名の届け出のみ | 販売名・処方・効能効果・用法用量など製品毎の承認が必要 |
成分表示 | 全成分表示(法規制で義務) | 全成分表示(各社の自主判断)、有効成分 |
処方 | 基本的に自由 化粧品基準を守る | 多くが品質、有効性、 安全性の確認が取れた配合実績のある処方 |
使う目的について
化粧品は「健康な状態の維持」、薬用化粧品(医薬部外品)は「防止・予防」とあります。これは、薬用化粧品(医薬部外品)には「肌荒れ・にきびを防ぐ」「美白」「デオドランド」などの効果がある有効成分が入っているからですね。
表現できる効果・効能について
化粧品は「56の効能の範囲」とあります。56の効能とは「肌のキメを整える」「肌荒れを防ぐ」「皮膚にうるおいを与える」「肌にはりを与える」「乾燥による小ジワを目立たなくする」など、化粧品に認められた56種類の効能のことです。広告表現でも、化粧品はこの56種類の表現のみが認められています。
薬用化粧品(医薬部外品)は、「美白」「ニキビ予防」など、有効成分ごとに認められた効果があることを表現できます。この表現があるかないかで商品や広告を見たときの印象が変わってくるので、これは製造販売元にとって大きなメリットとなります。消費者にとっても、効果がわかりやすいですよね。また薬用化粧品(医薬部外品)には化粧品としての機能もあるので、56の効能についても表記できます。
薬事申請・成分表示について
化粧品を販売するときは販売名の届け出だけでOKですが、薬用化粧品(医薬部外品)は販売名や処方、効果・効能、用法・用量など、商品ごとに厚生労働省から承認を受ける必要があります。
ということは、化粧品は信頼性が低い!?と感じるかもしれませんが、化粧品は製造販売元によって品質や安全性が保証されています。さらに配合している全成分を表示することが法律で義務付けられているため、買うときに成分を細かくチェックすることも可能。敏感肌やトラブル肌などで、成分をしっかり把握してから買いたい消費者にとっては、化粧品の方が信頼できる場合もありそうですね。
ちなみに薬用化粧品(医薬部外品)も全成分表示とされていますが、各製造販売元の判断に任せられています。
配合できる成分について
化粧品は化粧品基準を守っていれば、製造販売元の保証のもとで基本的にどんな成分でも組み合わせられるので、100%オリジナルの配合で独自の化粧品をつくることができます。医薬部外品として製造販売する承認を得ていないので効果を表記することはできませんが、薬用化粧品(医薬部外品)と同じ有効成分を配合することもできます。もっと言えば、薬用化粧品(医薬部外品)以上の量を配合することだってできるのです。また最新技術もスピーディーに取り入れることができます。
一方、薬用化粧品(医薬部外品)の処方は「多くが品質、有効性、安全性の確認が取れた配合実績のある処方」とあります。これは、基本的に「過去にこの有効成分とこの成分を組み合わせても大丈夫だった」という実績がある成分同士でないと一緒に配合することが難しいという意味です。新しい成分や新しい組み合わせ、最新技術を採用したい場合は、承認を得るのにかなり高いハードルを越える必要があります。その分コストも時間もかかるので、薬用化粧品(医薬部外品)は過去に実績のある組み合わせの中で配合することが多くなっているのが実情です。
化粧品と薬用化粧品(医薬部外品)、どっちを選べばいい?
ニキビ、日焼けによるシミ・そばかす(美白)など、特定のトラブルが気になる場合は、はっきりと効果が明記されている薬用化粧品(医薬部外品)が役立つかもしれません。
でも敏感肌やトラブル肌の場合は、肌へのやさしさを基準に選ぶことをおすすめします。全成分表示が法律で義務付けられている化粧品か、自社判断で全成分を表示している薬用化粧品(医薬部外品)なら、肌荒れのリスクを回避しやすくなりますね。
またお肌に異常がある場合は使用せず、肌トラブルがひどくなったら皮膚科を受診することも大切です。たとえばニキビは「ざ瘡」という皮膚病です。状態によって対処方法が違うので、治療方法を間違えると悪化したり跡が残ったりする可能性もあります。
最後に、化粧品を使う本来の意味を思い出してみましょう。化粧品や薬用化粧品(医薬部外品)にできることは、治療ではなく「肌の環境づくり」です。とくにスキンケア化粧品は、気持ちよく使うことでリラックスできるよう、使用感のいいものを選ぶことも大切です。
わからないことは製造販売元の相談窓口へ
私たち肌〇も、敏感肌・トラブル肌用スキンケアブランドとして、多くの人の肌悩みに 寄り添いたいと思っています。商品選びに悩んだり、成分や使用頻度に関してわからないことがあったり、使っているうちに肌荒れを起こしてしまったりしたときには、お気軽に相談窓口にお問い合わせくださいね。
肌や商品について日々勉強している肌〇スタッフたちですが、すぐに回答できない場合は、研究・開発担当者に確認してきちんと正しい情報をお伝えいたします。肌のこと、ぜひ私たちと一緒に考えていきましょう。
肌に「マル」な成分だけを使用した、スキンケアブランド「肌○(はだまる)」編集部によるwebマガジンです。
肌◯では、肌の「バリア機能」を整えて健康な肌を目指す、低刺激・高保湿のスキンケアシリーズを展開しています。敏感肌・トラブル肌で悩む方が、最後にたどりつくスキンケアブランドをつくりたいという想いから、スキンケアに関するさまざまな情報発信をしていきます。今後とも、どうぞよろしくお願いします。
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