「防腐剤フリー」「パラベンフリー」は本当に肌にいい?
化粧品に「防腐剤フリー」や「パラベンフリー」と書いてあると、何となく肌にやさしそうな気がしますよね。でも、実際のところはどうなのでしょうか…。 今回は、化粧品と防腐剤の切っても切れない関係性や、「防腐剤フリー」のからくり、意外と知らない「パラベン」のこと、化粧品を安全に使うためのポイントまで、肌のために知っておきたい情報をまとめました。
目次
どうして防腐剤を入れるの?
水道水には塩素が入っていますよね。それは、入れないと細菌が繁殖して腐ってしまうから。そう、水は腐るんです。そして普段はあまり気にすることがないかもしれませんが、化粧水、美容液、クリーム…とほとんどの化粧品には水が入っています。
さらに化粧品の中には、水のほかにも細菌の大好物がたくさん!つまり、化粧品はそのままだと腐りやすいんです。化粧品に防腐剤を配合する目的は、化粧品の容器の中で細菌が繁殖して腐ってしまうことを防いで、最後まで安全かつ衛生的に使えるようにするためです。
実は、こんな調査結果があります。
<化粧品の使用実態>
化粧品を使う前に手を洗う…22%
一度手に取った化粧品の中身を戻す…64%
一度開封した日焼け止め・デオドランド系などの季節製品を、
次のシーズンにも使う…89%
手を洗わずに使ったり、手から戻したり、開封後の化粧品を次のシーズンも使ったり…これらの行為は、すべて化粧品の中の微生物を増やし、腐らせる原因となるものです。もしも腐った化粧品を肌に毎日塗っているとしたら…ゾッとしますよね。その危険性を減らすためにも、化粧品には防腐剤が配合されるのです。
また防腐剤は化粧品だけでなく、食品や医薬品など、安全性を維持すべきたくさんのものに配合されています。「防腐剤は危険」というよりも、「防腐剤を入れないと危険」と考える方が正しいのかもしれませんね。
「防腐剤フリー」でも防腐剤や抗菌剤が入っている
化粧品を安全に使うためには防腐剤が必要なのに、「防腐剤フリー」して売っている化粧品があるのはどうしてなのでしょうか。
それはほとんどの場合、「防腐剤フリー=防腐剤を配合していない」という意味ではなく、「防腐剤フリー=化学添加物の防腐剤は配合していない」という意味だからです。たとえば、ローズマリーエキス、オレンジオイルなどの天然の防腐剤を配合していても、「防腐剤フリー」となります。
または「保湿成分」として、保湿効果のある抗菌剤(化粧品の主成分として使われる多価アルコール類、BG、ペチレングリコールなど)をたくさん配合し、防腐剤の代わりとする場合もあります。たとえ防腐効果がある成分でも、製造販売会社が「保湿成分」とすれば「防腐剤フリー」ということになります。 とはいえ、「防腐剤フリー」の商品がまったくないわけではありません。短期間で使い切れるように容量がとても少ないものや、逆止弁やエアレス機能など、容器自体に細菌の混入を防ぐ工夫があるもの、そして使用期限が定められているものは、本当に「防腐剤フリー」である可能性があります。「防腐剤フリー」こだわるなら、「防腐剤フリー」の表記だけを鵜吞みにせず、これらの条件をクリアしているかどうかもチェックしてみてくださいね。
「パラベンフリー」ってよく見るけど、パラベンは有害?
「防腐剤フリー」と並んで、よく見かけるのが「パラベンフリー」という表記。こう書かれると「パラベン=肌に悪いもの」という印象を受けますが、実際はそうでもありません。
パラベンは防腐剤の中でも人体に対する毒性が低く、幅広い菌や微生物に対して効果を発揮するのが特徴。長い歴史の中で安全性が実証されているため、食品の保存料としても使われている成分です。 また多くの化粧品において、パラベンは0.01~0.3%という低用量で配合されています。ほんの少し配合するだけで防腐効果があるという点も、パラベンのいいところです。
<パラベンの種類> メチルパラベン・エチルパラベン・プロピルパラベン・ブチルパラベン・イソブチルパラベンなど
実は、パラベンに悪いイメージがあるのは、30年以上前に旧表示指定成分のリストに含まれていたからです。でもこの旧表示指定成分の内容はもう古いもので、当時は危険とされていた成分が、今はサプリメントに使われている事例もあるほどです。
「パラベンフリー」の化粧品、実は防腐剤がたっぷり!?
「防腐剤フリー」と同じく、「パラベンフリー」の場合もパラベン以外の防腐剤が配合されています。化粧品には防腐剤が必要不可欠だからです。 パラベンの代わりによく使われるのが、フェノキシエタノールという防腐剤。パラベンと一緒に配合すると、相乗効果でより幅広い菌に対応できるというメリットがあるのですが、フェノキシエタノールだけを配合する場合は、殺菌力が低いので配合量が多くなってしまいます。
<パラベン以外に、薬機法で許可された防腐剤の種類> フェノキシエタノール、安息香酸塩類、パラオキシ安息香酸エステル(Na)、サリチル酸塩類、クロルクレゾール、デヒドロ酢酸(Na)、ソルビン酸(Na)、ヒノキチオール、亜鉛、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム など
化粧品に配合する防腐剤の量が多くなればなるほど、肌への負担が増えます。ほんの少しで効率よく防腐効果を発揮するパラベンを配合した化粧品と、「パラベンフリー」でパラベン以外の防腐剤がたくさん入っている化粧品と、どちらが肌への負担が少ないか…。一度考えてみる必要がありそうですね。
大切なのは「〇〇フリー」よりも…
これまでお話ししたとおり、水分を使っている以上、防腐剤なしで化粧品をつくることは基本的にはできません。「〇〇フリー」と謳っている化粧品でも、何かしらの防腐剤が入っている場合があるということです。
大切なのは、「〇〇フリー」という表現だけで選ぶのではなく、信頼できる製造販売会社の化粧品を選ぶことです。どの成分が防腐剤なのか、抗菌効果がある保湿成分はどれなのか、どのようなこだわりで防腐剤を選んでいるのか。ものづくりや消費者に真摯に向き合っている製造販売会社なら、これらの質問にも丁寧に答えてくれるはずです。
敏感肌・トラブル肌用スキンケアブランドである私たち「肌〇」は、肌への負担を少なくするために、防腐剤を最小限で抑えられる配合にこだわっています。もちろん、お電話などでお問い合わせいただければ、どんな疑問にきちんとお答えいたします。 ただ、防腐剤だけでなくどんな成分でも、人によってはアレルギー反応が出てしまうリスクがゼロではありません。敏感肌・トラブル肌の方は特に、使用する前にパッチテストをおこなうことをおすすめします。
化粧品を安全に使うために
最後に、化粧品の使用期限についてお話ししたいと思います。
防腐剤が入っていても、化粧品には使用期限があります。でも使用期限が書いていない化粧品も多いですよね。それは法律で、未開封のまま適切に保存し、3年経っても性質や品質が変わらない化粧品は、使用期限を表示しなくてもいいということになっているからです。つまり使用期限が書いていない化粧品は、基本的には未開封で3年ならもちますよということです。
さらに開封後は、空気中をただよっている雑菌が入り込むなどして品質がどんどん低下してしまいます。開封したらできるだけ早く使い切りましょう。
どちらも、高温多湿・温度変化の激しい場所・直射日光の当たる場所を避けて保管した場合ですので、保管方法にもご注意くださいね。
肌トラブルを起こさないためにも、化粧品を使う前にはいつも「臭い」「分離」「沈殿」「変色」など、おかしなところがないか確かめるようにしましょう。 日焼け止めやデオドラント系など、昨年使っていた季節ものの化粧品を使うときは要注意ですよ!
肌に「マル」な成分だけを使用した、スキンケアブランド「肌○(はだまる)」編集部によるwebマガジンです。
肌◯では、肌の「バリア機能」を整えて健康な肌を目指す、低刺激・高保湿のスキンケアシリーズを展開しています。敏感肌・トラブル肌で悩む方が、最後にたどりつくスキンケアブランドをつくりたいという想いから、スキンケアに関するさまざまな情報発信をしていきます。今後とも、どうぞよろしくお願いします。
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