美肌への近道は、「攻めのケア」よりも「守りのケア」
「もっときれいな肌になりたい!」そう感じたときにまず思い浮かぶのは、良い成分をどんどん与える「攻めのケア」ではないでしょうか。でも実は、それだけではきれいな肌は目指せません。美肌への一番の近道は、ダメージを防ぐ「守りのケア」の方。今回は、その理由をお伝えします。
目次
皮膚(肌)は人体最大の臓器
皮膚(肌)はその名の通り、単なる“人を覆っている皮”という風に思われがち。でも皮膚(肌)は、日本人の成人の場合、平均で約畳1枚分の面積、体重の約16%もの重量を占める人体最大の臓器なんです。
皮膚(肌)がからだの表面をくまなく覆うことで、体液が失われるのを防ぎ、内臓を守ることができています。そういう意味では、皮膚(肌)があるからこそ、人は生きることができているともいえますね。
皮膚(肌)の「バリア機能」が果たす役割
皮膚(肌)の持つ働きのなかで最も重要なのが「保護作用」。「バリア機能」と呼ばれるものです。「バリア機能」とは、物理的な接触による損傷、化学物質による刺激、ウイルスや菌、微生物などによる感染、紫外線によるダメージなどからからだを守り、体内の水分が失われるのを防いで潤いを保つ働きのこと。
特に水分が失われることは人間にとっては命取りです。全体重の約3%の水分が失われるだけで脱水症状となり、食欲不振や、ぼんやりするといった状態に。さらに約8〜10%の水分が失われると、フラフラしたり痙れんしたりと重篤な状態へ。そして約20%の水分が失われると、命を落としてしまいます。
そして一般的に「美しい肌」「健康な肌」と呼ばれる皮膚(肌)とは、ズバリ「バリア機能」がしっかり働いている皮膚(肌)のこと。逆に「バリア機能」が働いていない肌、弱っている肌は、乾燥やシワ、シミ、ニキビといった肌トラブルに悩まされることになります。 命を守るためにも、肌トラブルをなくすためにも、皮膚(肌)の「バリア機能」は非常に大切なものなんです。
皮膚(肌)には、ほかにもこんな機能が
皮膚(肌)は「バリア機能」のほかにも、からだを正常な状態に保つためのさまざまな役割を果たしています。
■分泌作用
皮脂や汗を分泌することで弱酸性の皮脂膜をつくり、皮膚(肌)の乾燥を防いだり、細菌の繁殖を防いだりしています。
■体温調節作用
暑いときは汗をかくことで体温を下げ、寒いときは立毛筋を収縮させることで体温が奪われないようにしています。
■貯蓄作用
皮下に脂肪を蓄えることでエネルギーにしたり、衝撃や体温の低下を防いだりしています。
■排泄作用
体内の老廃物を汗腺から汗として体外に捨てることで、体内を清浄に保っています。
■知覚作用
何かに触れた、痛い、あたたかい、冷たい、かゆいといった感覚をとらえる役割があります。
このようにたくさんの役割を持つ皮膚(肌)。いつも健やかに、美しく保つには、どうすればいいのでしょうか。
基本は「守りのケア」で肌ダメージを防ぐこと
皮膚(肌)がダメージを受けて肌トラブルを引き起こしてしまうと、それを元の状態に近づけていくのはとても大変です。コストパフォーマンス、タイムパフォーマンス的に考えても、まずはダメージを防ぐことが、美肌への道の基本です。
守りの保湿ケア
皮膚(肌)の乾燥は、「バリア機能」が弱っていることで起こるトラブルであると同時に、乾燥している状態がさらに「バリア機能」を弱らせていきます。日々のスキンケアで、「バリア機能」を意識してしっかり保湿をすることで、乾燥しにくい肌、乾燥に負けない肌になっていきます。
守りの紫外線(シワ・シミ)ケア
加齢とともに気になりはじめるシワやシミ。これは単純な老化現象と、「光老化」と呼ばれる紫外線による皮膚(肌)の老化現象のどちらの影響もあると考えられます。
単純な老化現象については、人間の自然な変化ですので、スキンケアで何とかできるものではありません。年相応以上の老化を防ぐために、バランスの良い食事、十分な睡眠、ストレスを溜めない暮らしなど、健康的な生活を心がけましょう。
「光老化」については、皮膚(肌)が浴びる紫外線の量を減らすことが、とても有効です。紫外線をほとんど浴びることのない太ももの内側やお尻と、顔の皮膚(肌)を比べてみると、よく分かりますね。昔は健康のために日光浴がすすめられていたこともありましたが、今は医学的にも「紫外線は有害だ」と認められています。日頃から日焼け止めや日傘などでUVカットを徹底しましょう。
正しい日焼け止めの選び方は、以下を参考にしてみてくださいね。
日焼け止めを使ったら、帰宅後に洗顔で日焼け止めをきちんと落とすことも大切です。そして、乾燥を防ぐため、「バリア機能」を清浄に保つために、しっかり保湿することもお忘れなく。
守りのニキビケア
ニキビの原因は、毛穴に皮脂や汚れが溜まり、詰まること。それをそのままにしておくと、毛穴のなかに排泄されない皮脂がどんどん溜まり、皮脂を好むアクネ菌が増殖。「白ニキビ」や「黒ニキビ」を経て、炎症を起こしてくると「赤ニキビ」、膿を持った「黄ニキビ」と悪化していきます。
ニキビに対する「守りのケア」は、洗顔やピーリングによる角質ケア、正しい保湿で、毛穴の詰まりを引き起こす過剰な皮脂分泌や角質肥厚を防ぐこと。
ただでさえ敏感なニキビ肌に刺激の強い成分を使うと、さらに炎症を引き起こしてしまうので、スキンケアは刺激の少ないアイテムを選ぶようにしましょう。洗浄力の強さも要注意です。余分な皮脂だけでなく必要な潤いまで落としてしまうような、洗浄力の強いクレンジングや洗顔料は避けるのがベター。乾燥を感じた皮膚(肌)が皮脂を過剰に分泌し、ニキビが悪化する恐れがあるからです。おすすめはマイルドな石けんでの洗顔。また洗顔後は乾燥を防いで皮脂分泌を正常に保つため、保湿ケアも忘れずに。「バリア機能」が整って角質層がきれいに並ぶと、毛穴の出口もふさがりにくくなりますよ。
ニキビケアについてもっと詳しく知りたい方は、以下を参考にしてみてくださいね。
「攻めのケア」はスキンケア+医療で気長に
「守りのケア」ではカバーしきれず、皮膚(肌)がダメージを受けた場合はどうしたらいいのでしょうか。
通常のスキンケアに美容液を足すなどの「攻めのケア」によって、まだカバーしやすいのが「乾燥」や「ニキビ」です。
一方、乾燥や紫外線による「シミ、シワ」は、「攻めのケア」でなんとかしようとしてもお金、時間、手間がかなりかかってしまいます。さらに、どれだけ頑張っても、完全に解決するのは難しいといえます。お金はかかりますが、美容医療も視野に入れてみましょう。
そしてさらにケアしづらいのが、乾燥、「バリア機能」の低下などによる「アトピー性皮膚炎」や「脂漏性皮膚炎」といった皮膚疾患。「アトピー性皮膚炎」は長年研究が続けられているにもかかわらず、今現在も原因や治療法が解明されていません。だからこそ根本治療はなかなか難しく、お金や時間だけでなく精神的にも大変です。スキンケアだけで解決しようとせず、医療機関で処方される薬とスキンケアの組み合わせで、根気強くケアしていくしかありません。
このように、どれだけ「攻めのケア」を意識した高品質なスキンケア商品を使ったとしても、肌トラブルのすべてを解決できるわけではありません。だからこそ正しいスキンケア、日頃のこまめなスキンケア、紫外線カットといった「守りのケア」で、皮膚(肌)へのダメージを最小限に抑えることが大切です。そして皮膚(肌)がダメージを受けてトラブルを抱えたときには、スキンケアと医療を上手に使い分けながら、気長にケアしていきましょう。
[経歴] 北海道札幌市 出身、北里大学医学部 卒業、都内大手美容皮膚科 勤務、美容皮膚科・皮膚科クリニック 院長歴任、STスキンクリニック青山 開院
[資格] アラガン・ジャパン株式会社認定 ボトックスビスタ®認定医、アラガン・ジャパン株式会社認定 ジュビダームビスタ®認定医
肌に「マル」な成分だけを使用した、スキンケアブランド「肌○(はだまる)」編集部によるwebマガジンです。
肌◯では、肌の「バリア機能」を整えて健康な肌を目指す、低刺激・高保湿のスキンケアシリーズを展開しています。敏感肌・トラブル肌で悩む方が、最後にたどりつくスキンケアブランドをつくりたいという想いから、スキンケアに関するさまざまな情報発信をしていきます。今後とも、どうぞよろしくお願いします。
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